悠々自適

 僕の友人が110番で警察を呼んだというから驚いた。とっさに僕は質問した「警察を読んだらまた自分が捕まるのではないの?」と。
 過去2度も法務省に長期出張に行った人でも自分が襲われると110番するんだ。これは想像していなかった。結構都合がいいが、都合優先で生きているから他人に迷惑をかけれるのだろう。
 深夜、目が覚めると自分の布団のそばに女性が立っていて、突然彼をなじりだしたらしい。(彼はとられる物などないから戸締りなどしない。)その挙句つかみかかってきたらしい。ところが彼はまったくその女性と面識がない。そのことを言っても攻撃?の手を緩めなかったので彼が反撃したら、打撃を食らってしゃがみこんだらしい。体育会系の彼だからいまだ動きは俊敏だし力もある。女性ではひとたまりもないだろう。「殴り倒したら罪になるかなあ」と3回目の長期出張を心配していたが、こうして薬局に来ているのだからその点は無罪放免になったのだろう。正当防衛が成立するのかどうか知らないが、「こっちが被害者なんじゃから」と僕に言っても仕方ないのにその言葉を繰り返していた。おそらく警察で何度も繰り返した言葉ではないか。加害者としての経歴ばかりが残っている人だから。
 3たび、田舎の時の人になるところだったが、事件としては小さすぎたのかもしれない。うわさではなく本人の口から聞くくらいだから。幼馴染で幼稚園のころから知っているが、まじめに生きても、そうでなくても人生そんなに変わらないと証明しているような人だ。酒と博打で身を滅ぼしても、実は滅んでなんかない。有り余る時間の中で溺れもせず悠々自適に浮かんでいる。