屈辱

 確かNHKのニュースの中で見たと思うのだけれど「ノーモア自粛」と言う運動を取り上げていた。北海道の地震の後に経済が落ち込んだから、自粛せずにお金を使って経済を回していこうという運動だ。すぐに僕は福島の風評被害と言う言葉を思い出した。政治屋が自分達の罪を隠すためにとってつけた言葉を、被害者が錦の御旗の如く有難がり、結局は罪人達を見逃した標語だ。すべての放送局が手を貸したから、明らかに奴等も共犯者だ。
 余程経済的に恵まれている人間達ならいざ知らず、老後資金も貯蓄もない水準の人に自粛するななどと言えるのか。本来なら将来に渡って倹約をし質素に暮らせというのが道だろう。それなのに、この標語の提供者のように飲食店を複数経営している人間達の売り上げを落とさないために協力してと言う、所詮人道的なものではない。家が壊れた人達がいる土地で、どうして金を使ってなどと言えるのだろう。旅やグルメを楽しむ旅行者を横目で見ながら何をしろと言うのだ。それは屈辱の何物でもないように僕には見える。