昨夜、インターホーンを鳴らして隣の寮から二人やってきた。僕が夜、パソコンに向かっている場所は電気が付いているから、起きていることはすぐ分かる。
 迎え入れるとすぐに通訳が「虫の薬ないですか?」と尋ねた。僕はキンチョールかと思って、ドラッグストアに行くように勧めたが、その手の虫ではないらしい。スマフォを取り出して写真を見せてくれた。寄生虫の写真だった。これはキンチョールでは退治できない。いわゆる虫下しを欲しがっていたのだ。僕は吐き気などの自覚症状があるのかを尋ねた。すると何もないらしい。それなのにどうして必要なのか分からなかったので、自分の国から野菜を取り寄せているのか尋ねてみた。答えはNOだった。昔みたいに人糞を利用していたら虫も湧くだろうが、今の日本では考えられない。だから僕はもったいないから虫下しなど飲まなくていいと言った。するとかの国では現在でも半年に一度は飲むそうだ。まるで僕らの子供時代だ。
 何となく僕の答えに満足できないみたいで、もう1度スマフォの写真を見せてくれた。何枚もある中で、イカの写真が出てきた。そこで僕は初めて彼女達の心配が分かった。彼女達はイカに寄生するアニサキスを何らかの理由で知ったのだ。写真をみると確かに僕らが通常言う「虫」とそっくりで気持ちが悪い。実は通訳でないほうの女性がイカが大好きで、よく食べるらしい。だから心配になって虫下しを買いにきたのだ。ところが、かの国の人たちは基本的には刺身は食べない。煮るか炒めるかだ。だから火は十分通るから安心だといってもすぐには安心できなかったみたいだ。ただ、僕の「大丈夫、大丈夫」で少し気が楽になったのか最終的には納得して帰っていった。
 「おとうさん 是非来てください」としばしば言われるが、年に2回も虫下しを飲まなければならないところは、どうも・・・・・・・・・・・・・