台風

 地震、台風と、連続で災害に襲われた大阪から来た、ある会社のセールスは、その話から話題に入った。都会の人はやはり経験がないから無防備どころか、台風を楽しむような雰囲気もあったらしい。だからわざわざ車で出かけたりした人もいたという。ところがさすがに勢力を維持したままの台風の威力はすごかったらしくて、恐怖感を覚えたらしい。ただ、田舎の人間にとっては当たり前の話で、特に海辺の人間にとっては高潮のこともあり「昔から怖い」のだ。
 台風のおかげか、台風のせいか、人それぞれでこの言葉の違いはあるだろうが、大阪の街から外国人の姿がかなり消えたそうだ。関空の国際線の利用客の7割が外国人だから、彼らがいなくなったのだから、かなり違うだろう。具体的な地名は忘れたが、数箇所の地名を上げて説明してくれた。昔はなんでもないようなところが、外国人のおかげで有名になったりしているらしい。以前は閑散とした寂れた町だったのにと、感慨深そうだった。
 それにしても外国人頼りとは情けないものだ。身の丈にあった生産と消費をすればいいものを、何故もみ手をするのだろう。僕は何も持たないけれど誇りだけは持っている。外国人が消えた街を、大阪の人が楽しめばいいのだ。