寛容

 朝の6時頃からおもむろに漢方薬を作っているから、一体どのくらいの時間、毎日立てっているのだろうと思う。筋肉が痩せてきているのに、重力にあがないながら仕事をしなければならないので背筋が毎日悲鳴を上げている。そして1週間前についに立てれなくなった。運よくその日の午後にはコルセットで締めまくって仕事に復帰できたが、その後も鉛のような背中に耐えながら仕事している。
 そんな中でひまわりがみたいというかの国の女性達に応える為に、今朝笠岡のベイファームに行った。開花時期をずらすために区画ごとに植えられている中で、一区画だけが満開だった。それでも女性達は2時間近く炎天下の中で写真を取り捲った。僕はその間、テントの中で持参した薬学の雑誌を読んでいた。
 午後から岡山で漢方の勉強会だったから、12時頃に笠岡を発てばいいと予定していたが、ひまわり畑から帰ってきた女性の中の一人が、お腹が痛いから早く帰りたいと言いはじめた。つい今しがたソフトクリームを美味しそうに食べていたのに。仕方がないから岡山駅まで送ることにした。帰りの車中で、一人の若いかの国の女性がお腹が痛いという女性のことをかなり深刻な顔で心配し始めた。実はこの腹痛を訴えた女性は過去、神戸に行ったときも、四国に行ったときも、しんどいから帰ろうと言いだした女性だ。3回も繰り返されるとひょっとしたら意図的なのかと思ったりした。本当に弱かったら参加しないと思うのだが。僕は腹痛を訴えた女性ではなく、その女性を心配している若い女性の表情が気になって、牛窓まで帰ろうと提案した。牛窓まで1時間半かかり、それから岡山駅の近くまで行こうとしたら当然遅刻だ。それと2時間半連続で運転することになる。朝出かけるときにかなり強い痛み止めを飲んできたのに、予定外の長距離の運転で腰が持つのかどうか不安だった。
 結局何とか腰は持ったのだが、後味の悪いものだった。来週はその女性を含む10月帰国予定の4人を連れて香川県の和太鼓のコンサートに行く予定なのだが、思い出作りのために寄ろうと計画している金比羅様の石段が心配だ。金比羅様の後にコンサートだから、途中で帰るはありえない。
 勘ぐるわけではないが、勘ぐる。疑うわけではないが、疑う。僕は底抜けに寛容なわけではない。