格差

 なんてことだ、12月からこれで3人目だ。そしてすべて父親だ。そしてこれまた全て僕より若い。そしてこれまた全て癌だ。
 かの国の男性と付き合っていて感じることはよくタバコを吸う。数人が集まって、タバコを吸う姿はかつて日本でもよく見かけた光景だから責めるつもりはないが、僕に言わせればほとんど自爆攻撃だ。爆弾をベルトに巻いてはいないが、煙爆弾をいつも吸っている。酒もよく飲む、運動はしない、紫外線はきついと門外漢の僕は勝手に想像するが、彼女達(娘達)が異口同音に言うのが中国からの輸入品だ、隣接しているから影響はかなり強くて、町には一杯中国人がいるらしいが、かの国で採れた良いものは中国に輸出し、粗雑なものを逆に輸入するらしい。経済格差が激しいところではしばしば起こることだが、その現実を彼女達の父親の死で教えてくれる。
 わずか20数人が暮らす寮の中でこの確率で父親を失う。懸命に働き、せっせと国に仕送りするけなげな娘達の涙をこんなにしばしば見るとは。とどまるところを知らない格差の広がりをほくそ笑みながら観ているやつ等がどこの国でも支配している。