宿題

 恐怖のワンパターンからやっと抜け出すことができた・・・と思う。
 かの国の女性達を神戸に連れて行くのはもう片手以上になるが、いつも無難にこなすことが目的化してしまって、自分でも楽しめないばかりか、モチベーションが下がりつつあることも感じるようになっていた。須磨の水族館とポートタワーと観光船、それと元町の中華街の雰囲気。もうほとんど定番化している。
 今回地元の方にアイデアを出してもらい、いくつかの選択肢から異人街?なるところを初めてコースに入れることにした。名前だけは知っていたが、何となく僕の好みそうなところのようには思えなかったから、気にも止めなかった。今回その場所を訪ねてみようと思ったきっかけは、地図を眺めているときに、三宮から歩いていけること、又新神戸にそこから歩いていけることを知ったからだ。これなら時間のロスが少なくてすみそうだった。道すがら都会の風景を楽しみ、異人館に着けば異人館そのものの楽しみがある、一挙両得のように思えたのだ。もっとも今回は連れて行くのが3人だけだったので、新幹線を利用してもそんなに費用がかからないと秘かに計算もしていた。ここのところは一度に10人以上連れて行ったりするものだから、まさか新幹線ではいけない。青春切符のお世話にならなくして神戸はない。
 意外や意外、何となく楽しかった。多くの観光客がいたのも驚きだったし、古い建物に入るのにお金を要求されるのが理不尽に思えていたが、これならと思えた。ある建物の中にあった絵や古い写真を見て、神戸もかつては牛窓みたいな漁港だったのだとわかった。変れば変るものだと思ったが、牛窓がああなっていたら、こんなにのんびりと暮らすことは出来ないから、神戸のようにならなくてよかったとつくづく思う。
 異人街から新神戸に帰る道で、ロープーウェイを見つけた。突然道案内が目に飛び込んできた。ロープーウェイで上がったところに植物園があるらしくて、花が好きなかの国の女性達にとってはたまらないだろう。何とか頑張れば時間が取れるかなと思っても見たが、次回に宿題として残すことにした。次があるのはいいことだから。