老衰

 製薬会社から送られてきた資料を今日眺めていて、面白い記事を見つけた。「老衰が多い地域は、医療費や介護費が少なく、年間の医療費も少なく穏やかな死を迎えていると想像できる」と言うものだが、当たり前といえば当たり前でここまでならそんなに目を引くものではなかったのだが、全国20万人都市をすべて調べ上げて、老衰が多い町トップ8と、老衰が少ない町ワースト8を公表していたのだ。僕は田舎で薬局をやっているが結構全国に漢方薬を送っているから、次に上げる10の市にも患者さんがいる。羨ましく思ったり、心配したりで目を通した。
 まず良いほうから。全国で一番老衰が多い市は茅ヶ崎市、そこから順番に市原市四日市市浜松市横須賀市、渋谷区、いわき市豊田市。次はワースト8。まず一番老衰が少ない市は茨城市、そこから順番に寝屋川市枚方市吹田市長崎市鹿児島市、札幌市、那覇市。これを見たら大阪が突出して穏やかな死が少ないことが分かる。なんと茅ヶ崎市は茨城市の7倍老衰が多いそうだ。
 この順番を見ていかにも大阪らしい。のた打ち回って死ぬ確率が高いことすらお笑いにしそうだ。もっとも老衰で亡くなれるのは3.8%の狭き門だから滅多になれるものではないが、6つのハードルを越えなければならない。ガンにならない。脳卒中にならない、心疾患にならない、肺炎にならない、認知症にならない、寝たきりにならない。さすがにこのハードルを越えることができるのは、かなり選ばれた人になる。
 ゴテゴテの町で生きるより、スマートな町で生きるほうが穏やかに消え行くことが出来るみたいだが、人口20万人以下の町を調べていないのが残念だ。