なかなか個性豊かだ。何の話からそういった言葉が飛び出したのか忘れたが、少なくとも最初に僕のところに漢方薬の相談に来た時にはそうした雑談をする余裕はなかった。頑なで笑顔がなく、出てくる言葉も苦痛に満ちていた。それなのにこのところは体調の話より雑談のほうが多くなった。笑顔も結構出てかわいい顔になってきた。
そんな彼女が東日本大震災は私のせいだという。何でも彼女の心が清くなかったから起こったというのだ。大笑いし過ぎて、どの単語を使ったのか忘れてしまったが「怨念」か「のろい」かどちらかの言葉を使ったように思う。要は彼女の心が清くなかったから、罰として東北に大地震が起こったというのだ。彼女はそのことに本気で責任を感じている。もし彼女が心清く過ごしていたらあの大震災は起こっていなかった。東北の人に悪いことをしたと言った。
一見おかしいようなことを言っているが、冗談で言っているのではない。まだ７年しか経っていないのに、その時期が近づいたときだけ取り上げるマスコミなどにも不信感を持っている。外から見たら分からないが、話してみると皆さんそれぞれの考え方を持っていて興味深い。彼女のように発想がユニークな人もいれば、計り知れないほどの品性を持った人もいる。圧倒されるくらいの知識を持っている人もいれば、野心むき出しの人もいる。それぞれが、懸命に生きていることを感じる。薬局では多くの人が鎧を脱いでくれる。又笑ってもくれる。心の敷居が限りなく低いのかな。田舎の薬局の唯一の利点かもしれない。
