不思議

 不思議な現象を感じてはいたが、そんなに深く考えてはみなかった。「元々元気なのだろう」と根拠に乏しい結論で満足していた。ところが昨夜かの国の同居人と話しをしていて回答を得た。
 僕の周りには、30人くらいのかの国の若い女性たちがいるが、この冬インフルエンザにかかった人は一人もいない。この冬どころかこの10年くらいの間に恐らく一人もかかっていないのではないか。もしインフルエンザにかかったら必ず相談してくると思うが、記憶にない。風邪すら滅多にひかないし、ひいても病院に行くことはない。僕が寮として貸し出している会社では勿論、同居人がアルバイトをしている介護施設でも、毎日のようにインフルエンザの患者が出て、仕事を休む人が多いそうだ。
 雑談中にふと尋ねてみた。「どうして〇〇〇〇人はインフルエンザにかからないの?」と。すると「〇〇〇〇人の体温が高いからではないですか?」と答えた。「学校で37度と習いました。でも、日本人低いでしょう」平熱が37度には驚いた。「〇〇チャンは何度あるの?」と尋ねると36.9度あると答えた。「日本人、37度あるとしんどそう。病院に行きますね?〇〇〇〇人、自分で治す」
 なるほどそれならインフルエンザにかかりにくいのは理解できる。ところがここで矛盾がある。体温が高いと言うことは免疫力が強いということなのだが、それなら何故多くの人が若くして癌になってしまうのだろう。その疑問も投げかけてみた。すると、食べ物の多くが中国からやってくるらしい。だから農薬などが沢山混入していて癌などの病気になると言っていた。僕はそれにタバコと酒を加えるべきだと思っている。かの国の人の多くがタバコを吸い、酒を飲む。それらが重なって若死を作っているのだと思う。
 同居して彼女たちが野菜を多く食べることは目撃しているが、肉もよく食べる。見ていてなかなかよい食事だと感心することが多い。決して見栄えはよくないがバランスはよく取れていると思う。「良いものは輸出し、残った悪いものを食べる」と半ば自虐的なことを言っていたが、国に帰りたくない理由で食べ物の危険を指摘する人は多い。備わった体の強さをみすみす弱められる不条理にかの国の若者達は気がついている。誰の責任なのだ。