啓蒙

 これまで、インフルエンザの主な感染経路は感染者のくしゃみや咳で飛び散ったウイルスを含むしぶきを吸い込むことで感染する「飛沫感染」か、ウイルスが付着したものを触ることで感染する「接触感染」のいずれかだと考えられていた。しかし、感染者が呼吸するだけでウイルスが周りに拡散し、同じ部屋にいる人に感染する「空気感染」も予想以上に起こりやすいことが新たな研究で示唆された。
  この研究を実施したのは米メリーランド大学環境衛生学教授のDonald Milton氏ら。Milton氏は、今回の研究に関する同大学のプレスリリースで「咳やくしゃみをしなくても、インフルエンザ患者が呼吸するだけで周囲の空気にウイルスが放出されることが分かった。したがって、インフルエンザに感染した人が職場に現れた場合には、周囲への感染を防ぐため職場にとどまらせず、すぐに帰宅してもらうべきだ」と強調。この研究には関与していない米サンノゼ州立大学のSheryl Ehrman氏は「部屋を隅々まで清潔にし、頻繁に手洗いをし、咳をしている人に近づかないようにするといった対策は、インフルエンザの感染リスクを低下させる上で一定の効果がある」とした上で、「患者が呼吸するだけでインフルエンザウイルスが飛び散ってしまうのであれば、これらの対策だけでは完全に感染から身を守ることはできない」と話している。

 この情報を読んでいて、なんだかあほらしくなった。えらい大学の先生たちが発見し、インフルエンザ予防を啓蒙しているのだが、呼吸するだけでウイルスが空気中に出て行くのは当たり前だ。インフルエンザにかかっている人が必ずしも咳をするわけではない。それなのにあの伝染力は同じ空間にいただけと言う些細な条件で感染が広がっていくという事実がなければありえない。
 インフルエンザにかかっても尚仕事にやってくる熱心な人を帰宅せるのは難しいだろう。もっと難しいのは「部屋を隅々まで清潔にし、頻繁に手洗いをし、咳をしている人に近づかないようにする」ことだ。部屋を隅々まで綺麗にすることなど物が溢れている現代にちょっとやそこらで出来ることではない。頻繁に手洗いをしろと言うが、自然界から菌やウイルスをなくしてたら、人間は弱くなってしまう。菌やウイルスにまみれたらいいのではないか。咳をしている人に近づかないようにと言うが、呼吸している人からもウイルスは空気中に飛び出すのだから、呼吸している人には近づかないようにと、言い直さなければならない。これもまた非現実的だ。掃除も手洗いも苦手で、話好きの僕が出来ることは、「軽くかかること」に尽きる。重症化したら命が脅かされる人は別として、並みの体力の持ち主ならインフルエンザにはかかったほうがいいと思う。1日くらいで脱出できる罹り方が必要で、そのためにはよく食べ、よく眠り、仕事や勉強に緊張感を持ち生活することが大切だ。学者のように温室に閉じ込められたらかなわない。寒くても自然の中で暮らすのが一番。インフルエンザに如何にかからないようにするかより、よりよく生きることのほうが比較にならないくらい大切だ。