堅牢

 温暖なことで知られる岡山県でも最も温暖な牛窓でこの寒さだから、全国の皆さんの冷え具合は相当のものだろう。さっき外に出てみたら、強い風が吹いていて、数秒間で白衣が冷たくなってしまった。台風並みの風がこの気温以下で吹く東北や北海道の方々の強さには脱帽だ。西の人間がそちらに行くと数日で腰や首や膝を壊すだろう。関節を養うほどの余力はない。
 テレビはどのチャンネルも東京の雪を伝えていた。昨日までは相撲のことばかりだったのに。東京に住んでいない、相撲は見ない、どちらにも全く興味がないのに選択肢がない。どうでもいいことを延々と見せられ聞かされる・・・と思っていたら、自分にも関係があった。
 僕の漢方薬は3つの会社から仕入れている。一つは台湾で作られている漢方薬で、でんぷんなんかで量を稼いでいないから、煎じ薬に近いくらいよく効く。東京の漢方薬の会社が仕入れている。後は大阪の漢方問屋と岡山県の漢方問屋だ。いつものように注文を受け付けてくれる最後の時間(午後3時)にFAXで注文票を送った。するとすぐに電話がかかってきて、雪のため荷物が発送できないと言われた。クロネコヤマトが集荷してくれないそうだ。これは全く想定外。雪は昨夜のことだと思っていたが、今日も車が通りづらいくらい残っているのだろうか。漢方薬が切れるのは僕の薬局にとってかなりの打撃だが、天気に文句を言っても仕方がない。静かに受け入れるしかない。今日東京在住のある患者さんから東京は雪に弱いというメールを頂いたが、住んでいる方にとっては実感なのだろう。ただ、弱いのは雪くらいなもので、後はほとんど1人勝ちだからこの程度のハンディーは仕方がない。ハンディーだらけで暮らしている田舎の人間にとっては、決して無謀な外出さえ控えていれば安全などと言うレベルは羨ましい限りだ。
 東京が風邪を引くと、牛窓みたいな抹消がくしゃみをする。たかが雪でこの程度なら東京直下型地震や、富士山の噴火でもあればくしゃみどころではない。心筋梗塞状態かもしれない。堅牢な倉庫でも作って漢方薬の材料を目一杯在庫しておこうか。、