勘違い

僕は毎晩中学校のテニスコートを歩いています。
体育館でバレーの練習をしていたら、明かりが少し漏れてきますが、
そうでなかったら真っ暗です。
ある冬の夜、あまりに寒かったので、陸上競技の人が着る長い温かいコートを着ていきました。
フードがついていて首も顔も守られました。
僕くらいの年齢になると脳卒中が怖いので、首を冷やせません。
真っ暗な中歩いていると、後ろで足音が聞こえました。誰かが僕の後を歩いていますが、振り返る勇気もなく、
さりとて怖がるのも癪に障るから、そのまま歩いていましたが、いくら経ってもついてきます。
僕がスピードを上げても落としても僕に合わせます。
そのうち気持ち悪くなって、悔しいけれどウォーキングを切り上げて帰ってきました。
県道に出ても、家のすぐ傍に来ても足音が聞こえるのです。
家の近くだからもう安心だと思い、振り返ると誰もいませんでした。
不思議に思い、家の玄関まで歩いて帰ったときに、同じような音がします。
そして「誰もいないのに不思議」と思ったときに、僕が歩くたびに、と言うか揺れるたびに、
フードが耳にあたって音を出していることに気がつきました。
だからいくら離れようとしてもいつも同じ大きさの音しか聞こえてこなかったのです。
人は恐ろしい目にあったり緊張するとそんな勘違いまでしてしまうのですよ。
あなたも僕と同じような勘違いをしていると考えられませんか。
ヤマト薬局