傾向

 同居しているかの国の女性の1人が言っていたことがある。彼女の村では、若い女性に親類中がよってたかって外国人と結婚してくれと言うらしい。彼女も何度も言われてきたらしい。実際に外国の男性と結婚した人が多いらしくて、その家庭は一躍裕福になる。それが目的なのだが、露骨と言うべきか根性があるというべきか、僕ら現代を生きる日本人には到底理解できない。かの国は日本に比べて50年遅れているとしばしば口に出すが、50年前の日本の女性もそうした野望を持っていたのだろうか。そうは感じなかったが。
 今日あるかの国の若い女性がお別れの挨拶にやっていた。介護施設で働いていたのだが、腰を痛めて退職する。一生のお別れかと思ったら一度自国に帰ってまたやってくるそうだ。その理由は日本に彼氏が出来たからと言う。そう言えば随分とかの国の女性と日本の男性の結婚が増えた。その逆はあまり耳にしないが、日本の男性に嫁ぐかの国の女性は多い。僕も同居しているからわかるが、まじめな人はとてもまじめで、嘗て日本人女性が持っていたような雰囲気を持っている。貧しい国から豊かな国へ、後進国から先進国にやってきたのだから、それだけでもハンディーを背負っているように見える。そうした姿に日本の男性が優越感を持って自信が出るのだろうか。同じ日本人同士よりハードルが低いのではないだろうか。日本人同士なら評価はガラス張りだが、言葉も完全には理解できない環境では、隠すことが出来るものも多い。自分の長所を強調し、短所は言葉の壁を理由にしまっておける。
 したたかな女性と心優しい男性のカップルがこれからますます増えていくのではないかと思う。かつてはアメリカ、その後韓国中国、そして当分日本。自国が発展し、経済に吸い寄せられる流れが逆転すればなくなるかもしれないが、当分この傾向は続くだろう。日本では学歴や経済力だけでなく、人間力においても男性より勝る女性が増えてきた。結婚相手には恐れ多い日本人女性が増えてきた。そのことがこの傾向をつくり出したのではないかと、今日の女性の別れの挨拶を聞いていて思った。いいとか悪いとかでなく雨が降れば自ずと水の流れが出来るようなものだ。