体格

 日曜日に車のタイヤがパンクしたのを機会に、丁度定期検査と重なっていたので、4本ともタイヤを替えてもらうことになった。その車をディーラーの方が2人でとりに来てくれた。ひとりは今までお世話になっていた方で、もう1人は後任の方らしく挨拶を兼ねて同行したらしい。  その男性が、もしいかつい顔だったら傍に寄ることはためらう。何故なら身長が1m90cm、体重は聞かなかったが恐らく100kgくらいあるのではないか。100kgと言っても肥満ではない。むしろ筋骨隆々なのはスーツの外からでもわかる。簡単に表現すればまるでサイボーグなのだ。尋ねなかったが自分から教えてくれた。「ラグビーをやっていたんです」と。過去形で言ったが今は社会人チームを卒業して、地域の同好会みたいなところでやっているらしい。まだ現役だ。道理で見るからにしまっている。190cmで肩幅がやたら広い。僕などがぶつかれば即死だ。  その男性に僕が初めて声をかけたのは「自分、体がガタガタではないの?」だった。サイボーグに向かってガタガタとは、薬剤師の風上にも置けない無知ぶりだが、僕には分かる。サイボーグと比べるのはおこがましいが、田舎のバレーチームで30年近くバレーボールをして来たが、その30年のお釣りでこの10年以上不愉快な症状で生活の質をかなり落としている。30年もしなければよかったと時に考えてしまうが、週に1回涙が出るほど笑い、筋肉を鍛え続けることが出来た恩恵は計り知れない。ただし人生の後半になってお釣りの筋骨の痛みを抱えて暮らすのは結構辛い。  いくらサイボーグでも、僕の何倍もの負荷を受け続けて痛まない訳がない。長年薬剤師をしていると、若い時にひ弱だった人が、晩年には若い時に強靭だった人より元気で長生きなことをしばしば目撃する。だから彼にも僕は自信を持ってガタガタだろうと尋ねたのだ。すると彼は胸の辺りを押さえながら、ここを2回大手術しましたと言った。肋骨か肩甲骨か、或いは他かもしれないが、サイボーグ同士のぶつかり合いで壊したのだろう。笑顔で言うからそんなに深刻さは伝わってこないが、普通の人間だったらとんでもないダメージだ。ありえる人とありえない人では受け止める許容量が違う。  それにしても世の中には体格に恵まれている人もいるものだ。僕は何に恵まれたのだろう。風貌も知能も品も並みの域を出ることはなかった。 地味だけど、僕に漢方の知識を教えてくださった先生に会えたことかな。

(この場を借りて) 折角漢方相談のメールを送ってくださっているのに、僕の返信メールが迷惑メールに届くように設定している方がいます。今もひとりの方にメールを返信し続けています。気がついたら迷惑メールの中を見てください。また住所などもはっきりと書いておいてください。僕は人を治すことしか興味がありませんから、なんら不都合はありません。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171031-00000047-sasahi-pol