貢献

 何ヶ月も前にチケットを買って楽しみにしていたのに、まさかドンピシャで台風に当たるとは。  四国の夢幻の会と言う和太鼓のチームは、子供が多いが子供と言って侮れるレベルではない。大人顔負けでなく、大人以上の打ち手が何人かいる。それも後から後から育ってくるから、どういった練習をしているのだろうかと興味をそそられる。明日の高松での年1回のコンサートは夢幻の会を指導しているプロの和太鼓集団の「志多ら」も特別ゲストとして出演するから楽しみだった。どうだろうどうだろうと3日前から天気予報を再々チェックしていたが、今朝最終的に諦めた。折角かの国の人を7人連れて行く予定だったのに残念だ・・・・・と諦める僕ではない。  僕一人なら、フェリーが左右の海面が交互に目の高さに見えるくらい揺れても怖くない。旨く海に飛び込めて何かつかむものさえあれば生きながらえることは瀬戸内海なら出来る。ただし、全く泳ぐことが出来ないかの国の女性達を助けることは出来ない。そのことを考えると怖くてやはり明日四国に渡るのは躊躇われる。最悪僕一人で行く算段をつけていたが、どうもそれは引っかかる。  思案しているうちに思い出したのだ。同じ日に早島で児島湾開拓を記念した和太鼓のコンサートが行われることを知ってがっくりしたことを。夢幻の会のコンサートばかり楽しみにしていたから、日が重なっていたことを忘れていた。コンサートの1日前に果たしてチケットが残っているかどうかわからなかったが一か八かで電話してみたら23枚だけ残っていると教えてくれた。早速予約して、それも高松に行く予定の人数より多めに手配した。1週間前に新たな研修生が6人やってきたこと、来週、3ヶ月の応援部隊6人が帰国すること。その2つのグループも加えた。あんなに近いところで、それも電車でいけるのだから人数を制限する必要はない。チケット代も極端に安い、運賃も安い、こんなときに人数を稼いでおかないと30人の人たちに均等に日本文化を経験してもらうことはできない。  僕は日本に移民が無制限にやってくることには反対だ。ただ善良で懸命に働いて必ず帰っていく人には親切にしたい。その人の人生で文化的な好奇心が満たされる3年であって欲しいと思っている。老後の資金に手をつけてしまったからまだまだ働かなければならないが、元々衣食にはお金を使わなかったから、この先も質素に暮らせば少しくらいの貢献は異国の人にも出来るだろう。