動機付け

 妻がよく世話をしている女性の招きで、ある医院のお祭り?に行った。〇〇医院と言う名前だったので小さな個人の医院かと思っていたら、想像以上に立派なものだった。看板を見てみたら、一杯の診療科目を標榜していた。とても個人では出来るものではないから、専門医を頼んでいるものと思われる。  到着すると開始時刻10分前だった。興味本位に中を見て回ったのだが、めちゃくちゃ人が沢山いて、ぶつかるくらいだった。患者さんか祭りのスタッフか分からないが、ごった返していた。しかし中にはソファーに沈痛な面持ちで腰掛けている人も数人いたから、患者さんもいたのだろう。診療日を知らせる案内を見たら日曜日も診察されるらしい。そのあたりにオーナー医師のやる気と真摯さを見た。  程なくイベントの開始だったが、うれしいことにオープニングは和太鼓の演奏だった。チーム名は初めて聞くものだったが、4車線道路を行き交う車の騒音に負けず、まずまずの演奏だった。町中の屋外で太鼓を打ち鳴らす場合、どのような許可を近所の家々にもらっているのだろうとかなり興味を持った。よほど近隣の方の支持がないとこんなことは出来ないだろう。  和太鼓の後は、婦人達の踊りと、歌などの出し物が続いた。その傍らで、おでんにうどんにぜんざいが格安で売られ、行列が出来ていた。医院の中ではバザーとか花の販売などがあり、どうしてこういった人達を集めたのだろうと、交友の広さにも興味を持った。  恐らく人望の厚い医師なのだろうと興味を持っていたが、偶然その医師を目撃することが出来た。と言うのは僕がうどんを注文して待っているときに、僕のすぐそばで一人の男性が、さっき演奏していた和太鼓のリーダーらしき人に包みに入ったお礼を手渡ししていたのだ。もらった男性以上に深く頭を下げてお礼を言っていた。そしてその男性をスタッフか患者か分からないが「先生」と呼んでいた。確かに品もあり理知的だ。おまけに頭が低くてどの人ともフレンドリーでハグしたりハイタッチしたり握手をしていた。妻がお世話している女性も少し精神的に障害がある女性だが、その医師とハイタッチしてとても良い笑顔をしていた。いつもは報酬をもらって病院の木の水遣りをやらせてもらっている。あの医師ならそうした心遣いも出来るだろう。70歳は越えていると思うが、個人の苗字を冠にした大きな医院を作り上げているのがうなづける人だった。 僕はこうしたイベントをあまり経験したことがなかったから色々と参考になった。僕には資金力も交友関係もないから真似ることは出来ないが、広い土地だけは手に入れたから、何か人様が喜んでもらえることをするべきではないかと考える動機付けを頂いた。

https://www.youtube.com/watch?v=0VzpBkWAGy0