うかん常山公園

 2つの意味でもったいない。同じ県内でも知らなかったのだから、もう少し知らしめたら、訪れる人も増えるのではないか。海岸沿いに住んでいる人間にとってはとても興味深いイベントと景色だった。  今朝8時に出発した。高梁市にある「うかん常山公園」で大道芸のイベントがあることを商工会の小雑誌の中で知ったからだ。あるページの片隅に告知されていたから見つけた僕がすごい。よほどイベントに飢えている人しか見つけることは出来ないだろう。そう、僕は飢えている。次々にやってくるかの国の女性達に、滞在中に何か楽しいことや為になることを経験して欲しいから、イベントを毎日のように探している。だから大道芸のイベントを見つけたときは嬉しかった。大道芸をゆっくり沢山見ることが出来るのは、福山のバラ祭りか丸亀城祭りくらいしかないので、貴重なイベントだ。第2回目と言うから是非続けて欲しい。  何がもったいないかと言って、6人の芸人が時間をかけてゆっくり演じるのに、宣伝が足りない。早く到着した僕たち5人を合わせて、開演時は客は10人くらいしかいなかった。そのうちゆっくりと増えて50人くらいにはなったが、それではもったいない。もっともっと宣伝すべきだ。  もう1つのもったいないは、芝が綺麗な小さな丘陵に、石で出来た小さな風車をもつ巨岩が並んでいる公園。その公園自体がこれまた初耳だった。公園の傍には小さな城があった。とってつけたようなものではなく、それなりに歳月を経た風格は持っていたが、それが実際にいつの頃に作られたのか知らない。少し石段を上がればその疑問はすぐに解決できそうだったが、それは次回に回した。もし大道芸の舞台が来年も行われるならきっとまたやって来るだろうと思ったから。  海岸沿いに住んでいたら、見下ろすという行為はあまりない。今日の会場は、芝生のちょっとした丘陵を上れば、緑深い森や畑が見下ろせる。ほぼ360度見下ろせるが、その中に小さな集落が山の中腹にあるのが正面に見えた。その景色を見入っていたかの国の女性が「綺麗」と言った。日本語をほぼ理解できない人だが、ふるさとを思って言ったのか、実際に綺麗に思ったのか、心がこもった言い方だった。  町おこしのNPO法人の方々だろう、僕より年上も多かった。懸命に盛り上げている。年寄りが企画し、若者が演じる。この国ではよくある光景だが、いいことには思えない。やはり若者が企てるべきだ。何処に行っても年寄りが頑張っている。時代はまだその光景に答えを出していない。