皆さんのところも同じだと思うが、夕焼がいっぺんにきれいになった。うっかりしていたから、いつを境にこんなにきれいになったのかわからない。3日前からか、1週間前からか、もっと前からか。朝の冷気に思わずガラス窓をしめた頃と時を同じくしているのだろうか。夏を耐えた身体に御褒美のような秋の訪れだ。  仕事を7時に終えてそのまま、中学校のテニスコートにウォーキングに行くのを夏の日課にしていたが、ここのところ仕事を終える前の夕焼を最後に一気に暗くなる。そうした空の変化さえいとおしく思える年齢になった。目先の与えられたテーマをこなすのに精一杯の年齢のときには気づきもしなかったことの発見に、感謝の気持ちさえ湧いて来る。将来のほとんど全てを消費して、最早想像できてしまうような将来しか残っていないからか、何事にも理由を求めてしまう。分けの分からないまま、無謀と冒険の混沌の中でもがいていた頃もあったのに。  朝の鳥達との出会いに比べて、夕暮れのウォーキングは変化に乏しい。西の空がまだ完全に黒くは染まっていなくても、頭上を横切る飛行機のランプははっきりと星になる。過ぎ去る時の星になる。