大志

 今日ある処方を数人作った。作りながら、同じ内容のものだと気がついた。必要な薬を調剤台の上に並べて調剤するのだが、今終わったのに又同じ薬を作るの?と言う感じだった。  重なった処方は「肝っ玉を強くする漢方薬」正式にそんな処方があるわけはないが、ある漢方薬を人前で緊張しすぎたり、人が苦手とか、繊細すぎる人に勇気をもってもらう薬として僕は使っている。過敏性腸症候群の完治療法に応用することが多いが、イベント恐怖症やパニックや人前恐怖症など現代社会にうまく順応できない人に使う。かといって僕はそうした人たちになんら否定的な見解は持っていない。むしろ、電話で相談を受けたり報告を受けたりすることが多いが、なんて優しい話し方ができるのだろう、きっとこの人たちの周りにいる方々は幸せだろうなと想像を膨らませる。  一方、「一体、何様?」と思えるような人間も増えている。幸運にも、僕の周りや薬局に来てくれる人にはそんな人がいないから心穏やかに暮らすことが出来るが、仕事が終わってニュースを見たりするとそんな人間のオンパレードだ。もっとも、掃除大臣からしてその際たるものだから、それにこき使われる疫人も、書類を隠したり不祥事を隠したりは得意中の得意で、警察に捕まるわけでもなく、必殺仕事人に狙われるだけでもなく、のうのうと嘘のつき放題だ。小さな罪人は捕まり、大罪はありとあらゆる権力に守られる。  むしろ僕の言う肝っ玉を強くする漢方薬は、そんな疫人に飲ませたい。飲んで勇気を出してありとあらゆる隠された悪事を表に出して欲しい。彼らが頑張れば今の内閣で辞めなければならない奴はいっぱいいるのではないか。被告人席に座らなければならない奴は一杯いるのではないか。必死で受験勉強した疫人達が、あれだけ卑屈では、これから役人を目指している子供や青年達が空しかろう。もっと格好良い姿を見せられないのだろうか。それとも甘い汁を政治屋と一緒に吸っているのだろうか。嘗ての受験のプロ達は大志を抱いたことがないのだろうか。あの卑屈な姿をさらすことができるのは「大志たもの」だが。