第1回よさこい高松

 つくづく言ってみる、いや言われてみるものだ。  通訳としてやって来ている女性が、国にいるときによさこい踊りを見て感動し、日本に行くチャンスがあれば是非見てみたいと思っていたそうだ。それとは全く違う内容の会話をしているときに突然その女性が言った。願いをかなえることに生きがいを感じている僕は早速調べてみた。条件は日曜日に開催されること。日帰りが出来る所。この2点だ。となると県内か香川県か、兵庫県の岡山寄りくらいに絞られる。全く興味がなかったので、条件に見合うものがあるなどとは想像できずに、義理チョコみたいなノリで調べた。ところが僕にとって最高の条件、これ以上の条件はないくらいのものが見つかった。2ヶ月以上前のことだ。  大好きなフェリーに乗って行ける高松が会場。今日の日曜日。そして凄い偶然と言うか幸運が重なった。なんと僕が大好きな和太鼓集団志多らと夢幻の会のコラボが香川県民ホールで行われたのだ。僕は踊りには興味がないから、俄然和太鼓のコンサートがあることが分かってモチベーションが上がった。楽しんでくれるのを楽しむより、自分も楽しい方が数倍の喜びだ。  ニュースか何かで見たことがあるから、よさこい踊りに度肝を抜かれるようなことはなかったが、音楽の大きさと衣装の派手さには確かに目を見張った。若者達の楽しそうな表情、激しい動きにも好感は持てた。ただ残念ながら僕の感性ではそこまでだ。それ以上の感動を呼び起こされることもなく、1人の引率者として振舞った。ただ、意外と言うか当然と言うか、希望した通訳をはじめ連れて行った6人のかの国の女性たちは、想像以上に喜んでくれた。日本の衣装もよかったらしいし、若者の楽しそうな踊りも良かったそうだ。それが証拠に写真、動画を撮りまくっていたし、最後には舞台から降りてきた踊り手たちと一緒に写真に収まっていた。   かの国の女性達との付き合いがなければ、よさこい踊りなど見ることもなかったし、屋台で肉うどんを食べることもなかったし、屋台で売っている棒に豚肉のソーセージみたいなものを串刺しにしているようなものも口にすることもなかった。なんだかんだと言ってこちらのほうが確実に得るものが多い。僕がしていることなど些細なものだ。来週又4人が3年間の仕事を終えて帰国する。本当の娘みたいに親しいのに・・・