児島湾干拓和太鼓フェスティバル

 児島湾干拓和太鼓フェスティバルに行って来た。第8回になるらしいが、僕は半分辺りから聴いている。出場5団体のどのチームも次第に力をつけて、随分と上手になった。喜ばしいことに、子供の打ち手がどのチームも確実に育っていて、幼子も舞台の上に上がり熱演をする。ただ以前と違うのは、その幼子達もただかわいいというだけで拍手をもらっているのではない。れっきとした打ち人として登壇し拍手をもらっている。かわいいけれどまだ人に聴かせるほどではない・・・と言うのは今日の子供のチーム何処にもなかった。確実に幼い頃からの訓練が実を結んでいる。  これは幼子ではないが、「風人」に若者2人が加入した。今まではある女性の打ち手に魅了されたコアなファンが多かったが、これからはより発展的な変化も期待できる。1曲目にいつものように3人で演奏され、女性の鍛えられた演奏に会場中の恐らく全員が魅せられたが、その後に太鼓が5つ並べられて、新人二人が加入したことを知った。その若者も元の3人になんら劣ることなく演じきった。  ところで風人の演奏までは会場で「奇声」を上げて喜んでいるのは僕だけだったが、風人の演奏が始まる前に大きな拍手が起こり、誰かが大きな声で応援していた。ファンがいて多いに盛り上げてくれていた。僕の声援は風人には必要ないくらいだった。嬉しかったのはその一人の大きな声援だけでなく、自然に拍手が盛り上がり、これは終始演奏中、続いた。誰もがその実力を知っているのだ。そして何度も訪れる美技のたびに声援と拍手が送られる。  今日一緒に聴きに行ったかの国の女性は、来日2年目の介護施設の女性二人と、ある大手の工場で働いている姉妹だ。その姉妹は和太鼓は初めてだったが、風人が一番良かったと二人して評価できるくらい熱心に、それも驚きをもって聴いてくれていて、ついに最後のほうは僕に劣らぬ大きな声援を送っていた。声援が演者にとってどれだけの喜びかを教えてあげたからかもしれないが、恐らく感動を現すことの壁が無くなったのだろう。  僕自身が楽しめる事、一緒に行った人も楽しめること。この大切な二つの要素を満たしてくれる太鼓チームの人たちに本当に感謝する。来年も是非聴きに来るぞと帰るときには決まって誓うのだが、今日はかの国の女性達が、「一緒に来年も来ようね」と約束していた。初対面の二組が一瞬にして打ち解ける光景を、僕は幾度も見せてもらっている。こんな場面に立ち会えることで、非力な日常を何とか水面まで持ち上げることが出来ている。