余り遭遇したくないもの。それは蛇。夏には時々目にするが、今年は会わなかったと喜んでいたら今朝遭遇した。  毎朝と夕に不法侵入してウォーキングをする中学校のテニスコートは、隣接する体育館のコンクリートの土台から少しだけ低くなっている。その間に浅い溝がある。今朝そこをまたいでテニスコートに入ろうとしたら、太くて長い綱みたいなものが溝に落ちていた。最初は綱だと思っていたが、なんとなく僕の大嫌いなものに見えてきた。そこで確認すると例の気持ち悪い頭もあった。1mくらいある蛇だから青大将だと思うが、身動き1つしない。と言うよりなんとなく干からびている。蛇は光沢があり表面はみずみずしいが、干からびて体も滑らかでなく、不自然に所々で折れているように見える。牛窓はこの夏は極端に雨が少なかったから蛇も水を飲むことが出来なくて力尽きたんだと嬉しくなった。と言うのは我が家にも一匹住み着いているらしくて、今年娘が見つけて、使用していない水道管に逃げ込んだのを外から蓋をしたらしいのだ。食べるものも飲むものも無く蛇がどれくらい生きれるのか分からないが、確認することが出来ないから確かめていない。もし今朝の蛇が息絶えたのなら、我が家の蛇はとうにくたばっいるだろう。  蛇が死んでいるのを見つけた中学生はどのように処分するのだろうと考えながら、いつものように20分ウォーキングをした。 そしていつものように例の溝をまたいで帰ろうとすると、蛇の死骸がない。蛇のくせに狐につままれたみたいだった。あの干からびた蛇が死力を尽くしてどこかへ這って行ったのだろうか。体育館の縁の下には鉄の格子があるが蛇なら通り抜けられそうだ。又溝には何処からかパイプ間が引かれていてその中をさかのぼることも出来るだろう。又近くにはちょっとした植え込みもある。その3つに逃げ込んだとしか思えないが、人間が至近距離にいて身動き一つしなかったこと、干からびて、しわになっている部分もあったことなどから、どう見ても死んでいたと思う。それが何故消えたのだろう。本当に不思議でかなわない。半日たった今でも合点が行かない。ひょっとしたら大きな鳥がくわえて行ったのだろうか。それなら僕の目に留まるはずだが。それが一番ありそうにも思う。一番ありそうでないのは、蛇が死んだ真似をしたこと。  摩訶不思議な出来事だった。