失望

 毎土曜日の朝6時から、教育ラジオでは著名人の講演会の録音を流す。ウォーキングをしながら今日も聞いた。今日のテーマはアルツハイマー病だった。難解なテーマを素人にも少しは理解できるように教えてくれてとても役に立つことが多かった。唯一つ疑問に思ったことがある。そしてその疑問が以前から疑問に思っていたことを解決してくれた。出てくる多くの名詞は難しくて、不正確な用語を使うかもしれないが、それでもなお分かってくれるように書いてみたい。  アルツハイマーの発症に欠かせないアミロイドと言うタンパク質の早期の蓄積を見つければ、打つ手は少しはある。そのためにはMRIとペットを併用すればかなりのことが出来る。ただし、ペットがある施設が圧倒的に少ない、検査の前の造影剤の体への負担がある、ペットをする費用があまりにも高額という3つの不都合で、実際には利用できない検査だということだった。  そこで一瞬僕は今までの講演を全否定したくなるほどの違和感を覚えた。ペットで一番気になるのは被爆だろう。何処の場面でそれを口に出すのかと思ったが結局は触れずじまいだった。なるほど、彼らにとっては、被爆など取るに足らないものなのだ。研究の成果や営業のためなら患者の被爆など考えなくてもいいことなのだ。それとも、暗黙のうちに被爆については口に出さないという圧力を国から受けているのか。  1回の検査で1年分の放射線を浴びる。CTなどと併用したら何十中年分の被爆をしてしまう。その影響は年とともに出てくる。研究者なら当然分かっていることを敢えて外す意図は何かと勘ぐってしまう。医学者だからこそ患者に知らしめなければならない。日本の医者が原発に反対しないのがよく分かる。医師会と言う業界の献金に見合う果実をもらうためには、国の政策を批判したりしない。所詮その程度の団体なのだ  50分の講演だったが、このくだりに失望して、その後は聞く気になれなかった。あまりにもお上のご意向ばかり気にしていると医学どころではなくなる時代が来てしまうかもしれない。何せ今は政権の中にアルツハイマー病の2世ばかりいるのだから。