華政

 ついに見てしまった。あれだけ決意して朝の1時間を有意義に過ごそうとしていたのに、ほんの少し油断して、ある場面が目に入ってしまったばっかりに、そしてそれが不幸にも僕が一番好きなタイプの話の展開だったから、もうだめだ。3日目から見始めたのだがもう虜になってしまって、寝る前から楽しみにしている。そして今では最初の2回を見なかったことを後悔している。  韓国ドラマが旨いのは「絞め殺してやろうか」と思う様な悪人が次から次に出てきて、主人公を痛めつけるところだ。その主人公を応援するものだから、悪人がいつかやっつけられるのを楽しみに待ち続ける。何週でもいい、いじめられればいじめられるほど主人公と同化する。特に今回は前回のトンイと全く逆で、王女が奴隷まで落ちてそこからまるで男のように這い上がっていく物語だ。前回は賎民のトンイが王妃になった。韓国の女優はまるで男のように、それも虐げられた階級の男のように力強く権力に刃向かうのをとても旨く演ずる。仮に、整形手術できれいな顔に作り直していても許す。  僕が水戸黄門や韓国の時代劇が好きなのは、きっと殺してやりたいような悪の塊みたいな奴が最後にそうなるからだ。青春時代から、実社会で悪の塊みたいな奴等こそいい目をするのを見ていて、そしてそいつらが法の裁きを受けない仕組みを見続けさせられていて、劇中でそれを疑似体験し溜飲を下げたいためなのだ。「この紋所」でも「おおさま~」でもいいから悪が滅びるのを見たい。