解釈

 奥さんが、「又、ヤマト薬局に行って漢方薬をもらってきたら!」と言ってくれたらしい。さて、この優しさをどう取るか。  半年くらい仕事が原因でウツウツとしていた。集中力がなくなって、以前は家に持って帰ってやっていた仕事が全く出来なくなった。そのせいで家でもイライラして、懸命に抑えている。だから夜横になっても寝ているのか寝ていないのかわからないくらい眠りが浅い。当然朝は疲れが取れていなくて、仕事に行くのに気合がいる。営業に回る車の中で落ち込んでいらぬことばかり考えてしまう。  こんな症状が1週間の漢方薬で8割くらい改善した。その後もう一度1週間飲んで完治した。ところが昨日やって来て又症状が復活したみたいで漢方薬がいるらしい。その時に彼の口から出たのが冒頭の言葉だが、本当に彼の体調を心配してくれているかもしれないし、家で不快そうな雰囲気をかもし出されたら「うっとうしい」からかもしれない。ひとつの言葉を二通りに解釈できる。ご主人のことを本当に心配したのか、あるいは自分のことを心配したのか。自分のことを心配した場合でも、同じフレーズだと言うのが悩ましい。  ただこの場合は、世の常とは逆に本当に御主人の体調を心配してくれている。彼のウツウツの表情に時々笑顔が混じるのだ。元々柔和な表情なのだが、笑顔が又いい。心から笑っている。こうした方は奥さんから疎まれにくいだろう。家庭と職場が現代人の一番のストレスの場所。生真面目にその場所を往復している人にとっては交感神経が休まる暇がない。  アクセルにいつも足を載せている人にブレーキを教える。ブレーキを踏んでばかりの人間には、アクセルを教える。薬局って自動車学校か。