感受性

 今の薬局を建てたとき、2階で友人が喫茶店をするために外階段を作った。外階段と言っても、建物の中に全て隠れるから雨風は当たらない。その階段を上がった所に踊り場があって、今年初めてツバメが巣を作った。ここならカラスを防ぐことは出来そうだ。ただ、蛇なら上がってこれる。だから娘達は蛇対策をしていて、その甲斐あって5羽の雛が元気に育っているらしい。親が餌を持って帰ったときにけたたましく雛が鳴き声をあげることで分かる。  薬局の入り口の上には違うツバメが巣を作っていて、ここは常設だ。ほぼ完全なカラス対策が施せたから、やっと安心して、子育ての全ての過程を楽しめるようになった。そうしたおかげなのか、最近ツバメが我が家に沢山やってくる。彼らの親類かご近所さんか分からないが、沢山のツバメが高速で我が家の周りを飛びまわり、時に家を1周したりする。それも数羽が競い合うように飛び回る。早朝モコと駐車場にいると、1メートルくらい離れたところを飛んで行ったりする。僕達が無害だと分かったのだろうか、羽のない動きの鈍い安全パイだと認識したのだろうか。そして飛び回るとさすがに疲れるのか、壁にある突起物、例えばすだれを止めるためのフックやクーラーの排気栓などに止まる。多いときには9羽そろって止まっていた。気がついたのだが、早朝は主に建物の西側に、夕方は建物の東に止まる傾向がある。暑いから日陰を狙っているのだろうか。  こうした何気ない発見、たいしたことでもなく正しいかどうかも分からないどうでもいいことに喜びを感じたりする。年とともに鈍くなりそうなのに、どうも感受性が増しているような気がする。年齢とともに必ずしも衰えるものではないと今は断言できる。ただそれは自然に対しての感受性であって人工的なものに対してではない。理解と言う作業を伴う人工的なものに対してはさすがに若い人には劣るのかもしれないが、恐らく解釈なら負けない・・・・なんて、競っても仕方ないか。