逆転

 青い空、青い海、緑の岬、白い砂浜、カヤックが一艘。それだけが映っているきれいな1枚の写真とともに、とんでもない事実を知らされた。知らないところでどうしようもない奴がどうしようもないことをたくらんでいる。全て金のため。多くの人間に苦痛を背負わせても違法でなければお構い無しだ。  奄美大島に持ち上がった22万トン巨大クルーズ船寄港地建設計画によると現在建造中で2018年完成予定の世界最大級のクルーズ船が上海から九州に向かう途中で奄美に寄港する計画らしい。そのために奄美大島の浜に350mの桟橋を建造し、中国人観光客のために〇〇半島はテーマパークにするという。寄港を予定しているクルーズ船は、乗客が中国人5,400名(乗組員2,100名)で寄港日は建設予定地にいる人の半分以上が中国人になるらしい。  この計画に反対しているグループの人によると、建設予定地とその周辺地域は”今の奄美が好き”な地元住民や観光客の憩いの場で静かな生活環境が人気のエリアらしい。僕はその反対者が言っていることで一つ気になることがある。「中国人の観光地”のイメージがつくと、日本人観光客や日本人移住者は必ず減少します。差別的な考えではなく、島の規模と対応力の問題です」この文章の中で差別と言う言葉の使い方だ。中国が世界で第2位の経済力を持ってきた時点で、日本人が差別をすると言える立場にはない。もはや彼らが日本人を差別する時代なのだ。日本人の意識の中にあるのは差別ではなく、嫌悪とか恐怖ではないか。個人の人格に対してのそれか、或いは集団としてのそれかは個人的な体験によると思うが、僕は中国人に対して差別なんてのはおこがましくてもう日本人には使えない言葉になっていると思う。既に立場は逆転したのだ。いや、昔に戻ったのだ。  「 一部の業者のメリットが、その他大勢のデメリットの上に成り立つような計画はやめるべきです。」今の住みにくい社会を作ったのは、そう一部の大規模な業者なのだ。それが末端の零細業者まで波及したからもうブレーキはかからない。自分の企業の生産性を上げるために日本人を雇わずに、安い外国人を無尽蔵に入れてきたツケを、庶民が払っている。大金持ちの隣に彼らは住まないが、庶民の隣には住む。良質な人たちを選別して受け入れるのとは程遠いことが進行してしまって、取り返しがつかないところまで来ている。  「この計画でブランド力がつくのは会社だけで、奄美のブランド力は低下します。」それはそうだろう、誰が好んで中国人だらけのところに行くだろう。ビックカメラに行っただけでもうんざりするのに。国民の意思とはまったく無関係に、政治屋と鬼業家が密室ですべて自分達の都合の良いように決めていく。いい人間を演じさせられて、大切なものを失わないようにしなければ、いつでも逃げれる奴らのために、失えないものまで庶民は失ってしまう。