結論

 さてどちらがいいでしょう。職業柄僕は、経験的に分かっていたことだが、研究機関がこんな結論を導き出したのだから、この結果を参考に行動様式を変えたほうがいい人も多いのではないか。実験では夫婦を対象に調べているが、同性でも上下関係でも、こと人間関係においては普遍的な結論だと思う。  簡単に言えば、すぐ頭に来る人は血管系のトラブルで一瞬にして亡くなる可能性が高く、反論せずに黙り込む人は、死にはしないけれど、肩こりや首こり、或いは腰痛などを毎日のように訴え、ビヤビヤと長生きをするってことだ。痛いじゃ、凝ったじゃと、毎日不調を訴え、毎日が辛くて面白くないけれど長生きする。  こんな言い方に変えるともっと分かりやすいかもしれない。これも長年漢方薬で沢山の人をお世話して得た結論だ。「怒ると顔が赤くなる人は一瞬芸で亡くなり、怒ると血の気が引いて青くなる人は、痛いとこだらけの体で永遠に生きる。さて、どちらがいいでしょう。  

 夫婦の意見が合わないとき、怒りを表に出す人では心疾患リスクが高まり、感情を押さえ込んで対話を拒否する人では背中の痛みや肩こりなどの筋骨格系の障害につながる可能性があることが、米ノースウェスタン大学イリノイ州エバンストン)のClaudia Haase氏らの研究で示唆された。  研究では、異性婚の夫婦156組に20年以上、5年ごとに研究室にて楽しい話題と意見の合わない話題を話し合ってもらい、ビデオに録画した。試験開始時の年齢は、約半数が40~50歳、残りが60~70歳だった。行動コーディングの専門家が顔の表情、ボディランゲージ、声のトーンを元に対話を評価した。被験者は特定の健康障害の詳細を尋ねる質問票にも記入した。その結果、怒りと心血管の関係性が最も強いことが判明した。「怒りを強く表す」群の被験者の81%は、胸痛や高血圧などの心血管症状を20年間で1回以上経験していたが、「怒りをあまり表さない」群では約53%だった。「強く拒否する」夫の約45%では背中の痛み、筋肉痛または肩こりがみられたが、「あまり拒否しない」夫では23%のみであった。今回の研究は行動と健康障害の因果関係を証明するものではないが、特に夫では関連性が強くみられ、妻においても重要な関連性の一部が同様に認められた。「この知見から、怒りっぽい人は怒りをコントロールする練習が有益ではないかを検討し、対話を拒否しがちな人は湧き出る感情を押し殺さないようにするとよいことが示唆された」と、Haase氏は話している。