外来種

 やっと見つけた。  こんなことがあるのかと、初めてはっきりと認識した。それまでは鮮やかな黄色の花を楽しませてくれていたが、「きれい」以外の感情も関心もなかった。ところがふと気づいたことがある。と言うのは昨日まで鮮やかな黄色で隣の空き地を埋めてくれていたのに、今朝は、その黄色が全くなかったのだ。たった一夜で鮮やかに咲き誇っていたものが綿毛になってしまったのだ。その変化を妻に話すと妻はカーテンを開けて確かめていた。そして妻も驚いていた。ところが朝の9時頃出かけようとして外を覗くと、昨日と同じように何百本もの黄色の花が咲き誇っているのだ。まるで狐につままれたようなものだ。そこで初めてその花の生態に興味を持った。  この花は、最近良く見かける、あたかも誰かが植えたように道路沿いや堤防に整然と咲き誇っている。ただ隣のNTTの空き地では整然と言うより群がって咲いている。花を売り物にしている公園の一角くらいな価値はある。卑近な表現を使えば、ただで楽しませてもらっているようなものだ。ところが最近新聞記事で、その花が外来種で、在来種を駆逐しながら勢力を伸ばしていることを知った。その時その花の名前を覚えていればよかったのだが、何気なく読んだ記事だったから、覚えていない。寄稿した大学の先生は日本から無くさなければならないと書いていた。まるでブラックバスと同じような話の内容だ。  その花の特徴から、僕は勝手に「セイタカなにやらと名前をつけた。インターネットでそのセイタカで検索しても出てこなかった。一本の細い茎が高く伸び、その先にまるで菊のような花をつける。だから僕は先入観で「セイタカなにやらって花を知っている?隣のNTTの空き地に一杯生えているでしょう?」と薬局に来た数人に尋ねてみたが誰も知らなかった。僕がセイタカ何々と誘導したものだから「セイタカアワダチソウ?」と答える人がほとんどだった。でもそれとは明らかに違うから、休日の豊富な時間を利用して調べてみた。そしてやっとそれだろう代物に行き着いた。間違っているかもしれないが「オオキンケイギク(大金鶏菊」だと思う。  娘達が新人庭師に作ってもらった庭にも、もう触手は伸びている。2本それらしいのが生えてきている。魚、植物、次は何だ。恐らく次なる外来種はヒト。