中身

 外箱からして垢抜けているから、中身をついつい期待してしまう。で、中身は・・・・やっぱり垢抜けていて、彼が何処で買ったのだろうと想像してしまう。かの国の女性達が帰国するときに思い出旅行として年に2回訪ねる縁で、なんとなくその街の知識は増えては来たが、実際には大都市だから知らないところばかりだろう。彼と垢抜けたスイーツが結びつかないのか結びつくのか、恐らくそれを口にしたスタッフそれぞれで違うだろう。スイーツに詳しい娘や姪は違和感なく楽しんでいたが、僕は彼がこんな垢抜けたものを選んでくれたことが意外だった。少なくとも僕にこんなものを買って来いといわれたら断る。照れくさくて買えない。彼の若さか、克服した性格の賜物か、少なくとも僕などよりは数段勇気も行動力も持っている。  長年多くの人と接して、人それぞれが特有の長所を持っていることに気づかされた。気づいていないのは本人だけと言うことも間々ある。情報の媒体が増えすぎて、皮肉にも真実に近づくことが難しくなった。実は真実は目立たずにひっそりと存在しているもので、アホコミニ喧伝されるようなものではない。僕ら凡人の薄っぺらに見える日常の中にも尊いものは存在する。とりわけ若者達は、自分の中の小さな能力に気がついて、ほんの少しだけその分野で秀でて、社会の役に立つことに喜びを見つけてほしい。金持ちの老人や、権力を握っている老人達が若者の前に立ちふさがり、若者はいつの世でも生き辛い存在ではあるが、自分の能力を卑下することなく、誰かを助けるために、ほんの少しだけ人より勝るものを見つけて欲しい。