王様

 昨夜はとんだ災難だった。ブログの原稿を書いていたら、画面が一瞬消えたかと思うとウインドウズ10のグレードアップのためのインストールが突然始まった。以前から、パソコン画面上にその案内が来ても、便利ではなく不具合が生じる可能性が高いからインストールを実行しないように漢方薬の問屋さんの専務からきつく言われていた。機械音痴の僕としては複雑化するのは困るから、バージョンアップは不要でインストールなどしないと答えていた。ところが昨夜は、突然にインストールが始まったのだ。それを止める技量がないからただただ見ていたら、ブログもEメールも使えなくなった事に気がついた。深夜まで何とかならないかと手当たりしだいクリックを繰り返していたが、無駄な抵抗で諦めて結局は寝た。  朝一番に専務に電話をかけ、直してくれる様に依頼した。専務はいつものように前もって情報を集めてから駆けつけてくれると言ってくれた。なんでもバージョンを以前のものに戻すことが出来るそうだ。新しいことを覚えるより、以前のままで操作できることのほうが有難いので、バージョンを戻してもらう方を選択した。ところが専務が来てくれるのが遅くなりそうなので嘆いていたら、姪が果敢に挑戦してくれた。携帯電話を片手に説明書を読みながら挑戦してくれた。意外と早く、唯一つの不都合を残し姪はバージョンを戻してくれた。その不都合はかなり僕の仕事に障害になるので、気が気ではなかったが、昼過ぎてから専務が来てくれた。  唯一つの不都合というのは、せっかく昨日までのバージョンに戻してくれたのに、何故かその後数時間毎に、勝手にウインドウズ10に戻す操作が始まるのだ。最初はその案内の時点で気がついたから、すぐに消去したが、2度目は既に始まった時点で気がついた。このいたちごっこをこれから延々と繰り返すのかと思うとかなり憂鬱だった。日に何度も勝手にバージョンアップされ、姪にお願いして戻す。こんなことを繰り返せないと思ったのだ。僕のこの不愉快な体験を姪と専務に話しても信用してもらえなかったが、専務が何かでその事実をつかんでくれたらしく「大騒動」と言う大きな見出しを見つけた。僕だけに降りかかった火の粉ではなく、多くの人が迷惑をこうむっている事を分かってくれた。  「マイクロソフトって何でも出来るんだなあ」と単に驚いたのだが、専務が「ビルゲイツが悪いんですよ」と言った。なるほど無限の情報が彼に集まり、彼は自由に他人のパソコンを操作できる。考えようによっては、とんでもないことが平然と行われているのだ。いやいや、実際はパソコンどころではなく、それを経由しているもの全てを管理できるのだから、どれだけ力を蓄えているのだろう。それが悪用されたらとんでもないことが起こる。情報を操れる新たな支配者階級ができる。もし彼が親衛隊を作りヒットラー気取りのプー沈や、粛清されるべき人間なのに粛清している臭菌ペイや北の将軍様やおじいちゃんの夢をかなえるのに必死のアホノミクスなどと組んだら一体この世はどうなるのだろう。世界に君臨する王様が生まれるのではないか。へへっー、へへっー