仕事

 僕が若いときから丸山ワクチンと言う免疫を強くする薬は有名だった。いつの間にか聞かなくなったが、実際には今だその治療をしている医療機関があるらしい。岡山県でも数箇所の医療機関がやってくれるらしいし、実際に僕が漢方薬でお世話をしている人も、その治療を受けたことがある。幻の治療法かと思っていたが、今でも営々とその治療が行われていたことを知って驚いた。  免疫に関しては、確実性がないから現代では相手にされていないのかと思いきや、最近とみに脚光を浴びている新たな治療薬がある。まさしく免疫療法で、手術不可能、抗がん剤で治療見込みがない患者が劇的に癌が小さくなったともてはやされている。すごいものが出来たという感想と、ひょっとしたら僕が漢方薬でお世話している癌の方々が結構元気で長生きしてくれているのも、この免疫療法で説明がつくのではないかと期待している。僕ら素人が同じことをしているとなっては失礼すぎるかもしれないが、でも漢方薬とは元来そういったものだ。  鳴り物入りでデビューしているその薬は、年間一人当たり3460万円するそうで、現在の対象者にその薬を投与すれば年間2兆円医療費が膨らむらしい。おまけにいったいその患者さん達がその先何年その薬を必要とするか未知数だ。効果は10人投与して2人くらいらしいから、空振りが8割だ。3460万円の空振りが許されるのかどうか分からないが、国の財政が破綻するような空振りだ。それに比べれば僕の漢方薬だと月4万円。いつも申し訳ない気持ちいっぱいで会計をするが、こんなニュースを聞いていたら、結構僕の薬局は良心的で、知識もないのにいい仕事をしていると思った。