所得水準

 クロネコヤマトの運転手さんが、申し訳なさそうな顔をして「北海道は大雪で、空港が閉鎖されているから荷物が遅れるらしいです」と教えてくれた。牛窓はさすがに朝は冷え込んだが、昼にはエアコンを切って仕事をしているくらいだから、ピンと来なかった。北海道と言う言葉で、旅行か何かの話に一瞬聞こえた。そのうち昨日、北海道の患者さんに漢方薬を送ったのを思い出し、運転手さんがその荷物のことを心配してくれていることが分かった。  気候があまりにも温暖すぎて、災害があまりにも少なすぎて、移住したい県のトップに岡山県は位置しているらしいが、なんとなく最近の気候は岡山県と言えども安穏と出来ないような予感がする。いつ大雨が降るか、いつ巨大な台風が来るか、いつ大地が揺れるかなどとふと頭に心配がよぎることがある。夜空を見上げ、星の間を器用にすり抜けて飛ぶ飛行機の灯かりを見ながら、次の瞬間、あの夜間照明灯が倒れ、テニスコートが割れ、僕は地面に這い蹲るかもしれないと思ったりする。僕はいつ起こっても不思議でない巨大地震を恐らく体験する世代なのだろう。宝くじは当たるもの、飛行機は落ちないもの。勝手な確率論を駆使して恐怖感をごまかして暮らすのが人間だ。強欲で塗りつぶされたこの国をリセットできるのは、国民の自覚でもなく、政治屋の改心でもなく、僕は未曾有の災害だと思っている。歴史どおり、来なくてもいいものが必ずやって来る。所得水準に助かる率が比例するなどとは言わせまいぞ。