示唆

 過敏性腸症候群漢方薬を飲み始めて2週間の女性から、漢方薬の追加注文を受けた。その時のやり取りが、今僕の漢方薬を飲んでくれている人や、将来飲むかもしれない人たちにとってとても大切なことを示唆していたのでここで披露する。一連のやり取りが僕が拘っている、「皆一緒に治る」に少しでも役に立ってくれれば、僕は勿論その女性にとっても喜ばしいことだと思う。何しろ僕らの人生は人のお役に立ってこそ価値があるのだから。

患) メッセージ: 先週薬をすべて飲み終わったので、 また薬を出してほしいです。 薬が効いたのかはわからなかったです。

ヤ) 具体的に教えてくださいね。

登校しようとすると腹痛・・・これはどうでしたか。同じレベルですか? 座るとお腹が締め付けられ腹痛・・・・・・ 便秘と下痢を繰り返す 残便感 気持ちのよい大きなおならは出ませんでしたか イライラや不安はいかがでしたか 学校や人前での腹痛やガス漏れはいかがでしたか?

患) 腹痛の頻度は少しへったと思います。 学校ないではまだ腹痛がありますが、家では減りました。 便秘と下痢はまだ続いていますが、下痢の頻度は減りました。 残便感もないときがありましたが、食べ物を食べたらお腹が痛くなってすぐにトイレにいきたくなるときがあります。 大きなおならはでないです。 イライラや不安は人の声を聞くと湧き上がってきます。家の中でも怖くてイヤホンをつけて音楽をずっときいてましたが、 その時間は減ってイヤホンなしでも落ち着いて時間を過ごすことができるようになりました。 ガス漏れはまだあります。においもたぶんなおってないと思います。

ヤ) よかったです。効果がなかったみたいなので他の処方を朝から考えていました。 ところがあなたの返事が間に合って、微調節ですむことが分かりました。 2週間でこれだけ変化すれば十分です。 今の処方が正しいことが分かります。 一つずつあなたの不快症状を潰して行けばいずれ完治します。 お腹以外のことで頑張って、おなかのことで頑張らないでね。

患) はい、わかりました。 ありがとうがざいます。

 過敏性腸症候群の薬と言うものがあって、誰彼となくそれを渡して飲んでもらう・・・・そんな都合の良い薬はまだ存在しない。僕は、患者さんの不快症状を一つ残らず解決してあげれば、おのずと完治することを経験している。だから一つずつの症状報告に耳を澄ませている。苦痛に共感はできるが、それだけではお役に立てれない。冷静になって症状変化を僕に報告し、僕の知識と経験を利用してくれたらと思う。いわば皆さんが僕に症状を教え、代理で薬を作らせるということだ。それでこそ薬局製剤を作ることが出来る薬局の存在意義があると思う。