一期一会

 よかったです。その日の単なる漢方の勉強会が、3倍の楽しみに変わりました。 僕は勉強会お宅で、40年近く、日帰りで参加できる勉強会には積極的に参加しました。 でも、会場との往復しかしていません。その街や観光への興味がなかったこともありますが、 僕が作ったバレーボールチームの練習があったので夜7時までに必ず帰らなくてはならなかったのです。 練習に遅れないために、新幹線のホームや街中を走ったりして懸命にたどり着いたりしていました。正にわき目も触れずです。 25歳から55歳くらいまでの僕を支えてくれていたのは、漢方の勉強とバレーボールでした。 今思えばその他のことは何もしていません。 僕達もよほどのことがない限り、その新幹線に乗ります。 母の突然の不幸、僕の腰が不確定要素です。 あなたのメールを読んでいてハッとしました。僕はあの新幹線が尾道に止まるものとばかりと思っていました。 僕達も福山で乗り換えないといけなかったのですね。広島まで行ってしまうところでした。 僕達は別々の新幹線に乗って福山で合流できると思っていたのですが、よく見たら貴女が乗っている新幹線に僕達が岡山で乗り込むのですね。 もし、最後尾が自由席ならその車両に乗っていてください。「あれ、どうしたの、奇遇ですね!」と大げさなリアクションをします。 奇遇と言う日本語は分からないから、分かりやすい言葉を考えておきます。 尾道は一度行ったことがありますが、貴女の提案でいいです。 ゆっくりとしたスケジュールのほうがいいです。貴女も見て分かるとおり、どうせ彼女達は写真ばかり撮りますから。 広島では、僕が勉強している間に、お城でも案内してください。 その後何処で待ち合わせかも、出来れば考えておいて下さい。 広島駅の近くが僕の勉強会の会場ですから、一度駅まで帰ってきてくださってもいいです。 その後一緒に原爆ドームに行きましょうか。 或いは、僕も何度も原爆ドームには行っているので、後から僕が合流でもかまいません。 地図でどのような行動が最適か調べておいて下さい。貴女の負担にならない程度に今回はラフでいいです。 僕はサプライズが好きなのです。帰国する3人に、3年間出来る限りのことはしてきたつもりですが、 これ以上のプレゼントはないと思っています。貴女は、あの3人が最後に出会うことが出来た最良の日本の友人ですから。 一期一会が一期二会になってしまいましたが、このサプライズほど彼女達の心のお土産になるものはないでしょう。 後5日、僕が秘密を守ることが出来るかが一番の問題です。