連絡

 わが子たちも同じだったが、次女、三女も同じになってきた。困った時しか連絡をしてこなくなったことが。  1週間ほど前に夜遅く電話がかかってきた時は、さすがに本人達のことでなく友人の話だったから少し手を抜いた。恐らくノロウイルスの胃腸風邪だろう、嘔吐下痢と腹痛で困っている友人のためにドラッグストアに薬を買いに来ているから、何を買ったらいいか教えてくれという電話だった。ドラッグストアでノロウイルスに対処できるものはないから、スポーツ飲料だけ買って帰り、吐いたり下したりしてもいいから脱水症状だけ防ぐように助言した。かの国の人たちは強いからそれで耐えれると思ったし、その時間に岡山まで往復するのは辛かったから、敢えて漢方薬を運ぶことはしなかった。ただ後日談では早く回復したらしい。  昨日は自分達の困りごとだった。蕁麻疹が急に出だしたって言うのだ。さすがに辛いのだろう電車とバスを乗り継いでやって来ると言う。2時間位したら2人でやってきた。蕁麻疹は夕方から出ることが多いが、目の前で出始めて掻き出した。目の当たりに症状を見ることが出来たから、確信を持って娘夫婦が作っている飲み薬と塗り薬を渡した。帰ってから飲むと最初は言っていたが、発疹が次から次へと現れだしたから、その場で飲んだ。  岡山に帰る途中に若夫婦のアパートがあるから、夕食を御馳走してそのまま送っていくといって、4人で出て行った。今年のノロウイルスは新型で免疫を持っている人がいないから、大流行する可能性があり、当然次女と三女もその洗礼を受けるだろう。だからヤマト薬局特製の胃腸風邪の漢方薬を作って渡した。それを持っていればかなり早く治る。上手くいけば一服で治ることも多い。結局、僕が当日袋に入れて持たせたのは、蕁麻疹の飲み薬と塗り薬、それとノロウイルスの風邪薬だ。ところが薬を入れたビニール袋をひょいと持つと、楽しそうに4人で出て行った。アリガトウもコレイクラデッカもなかった。まるで本当の娘になったくらいドライだった。