兄妹

 娘が久しぶりに漢方の患者さんの相談に乗った。今月一杯で市民病院の分院が閉鎖されるから、2年ぶりに本来の形態に戻そうと気持ちを持っていっているところだった。そのために気持ちの準備が出来ていたのか、初めてやってきてくださった人を応対していた。牛窓に帰ってから僕がお世話している漢方の勉強会に出席しているし、僕の先生のところで直接教えも乞うたし、僕の薬局でも結構相談に乗っていたが、この2年は病院の薬を作る為に漢方の相談まで手が回らなかった。軒並み僕が応対したが、傍で見ていたから現場を離れたわけでもない。今日の患者さんに処方した漢方薬も、僕が応対しても同じ処方になるくらい一致していたから、ほっとした。  息子も最近は1日に複数の患者さんに漢方薬を使っている。効果が出てとても感謝してくれる人も結構な確率でいるから、本人のモチベーションも高いみたいだ。不思議なことだが、漢方薬には医者しか使えない処方と、薬局でしか出せない処方があり、その両方を兄妹で作ることが出来るから、2人がそれぞれ勉強すれば、全ての漢方薬が作れることになる。兄のほうが大分スタートは遅れたが、そこはやはり患者数が多いから毎日が勉強になり、あっという間に妹に追いつくだろう。  僕もいつまでも良いコンディションで仕事が出来るわけではない。そのために、次の世代に渡せるものは全て渡しておかなければならない。管理薬剤師と言う薬局の要は娘婿に渡したから、後は漢方薬くらいなものだ。  僕が中心でやっていた頃とは見間違えるほど内装が気の効いたものになった。それに負けない漢方知識を陳列しなければ本当に役に立つ薬局にはなれない。