気配

 朝の散歩からの帰り、薬局の傍の路地に差し掛かったとき、頭上になんだか鳥の気配を感じた。見上げると、2階の窓のあたりで2羽の小さな鳥が戯れていた。一見ツバメに見えたが、ツバメが戯れるような場所でもないし、まだツバメがいるのかなと言う考えも頭をよぎったので、確認するためにしっかりと見た。すると2羽のスズメだった。スズメがいなくなった、少なくなった、見かけなくなったなどといわれて久しいが、最近は少しずつ数が増えてきたと思う。意図的なバードウォッチャーではないが、朝歩いていると鳥を見る機会が多いからなんとなく五感で分かる。見つけたスズメはどちらも丸々とふくよかで、鳴き声も、身のこなしも、とても楽しげだった。  農業にとっては好ましくない鳥かもしれないが、スズメもいない、見ない世界がまともだとは思えない。怖さも、ずる賢さもない、どちらかと言えば陽気な鳥が遠慮なくさえずり飛び回る世界こそ本当の自然だと思う。