リンパマッサージ

 恐らく最高気温で言えば夏と変わりないくらい上がったと思うが、木陰にいれば気持ちよい風が体感温度を下げてくれる。寒がりの母には丁度よかったと思う。リンパマッサージなるものを習った?実践?している姉が、長い時間、母の足をさすってあげていた。その甲斐あって倍位に腫れていた母の足が少しだけ細くなった。母は気持ちよさそうに車椅子に腰掛け。日傘をずっと差したまま姉の施術に身を任せていた。  一時表情が険しく、ウツウツとしていた面影は今はない。何を持ってかつての穏やかな人柄を髣髴させる表情が戻ったのか分からないが、訪ねる側が慰められる。例のアルツハイマーの治療薬の副作用から始まった人格崩壊は家族の多くの判断を間違わせた。こんな罪作りの薬に国は多くの医療費をつける。  安らかな眠りを母に与えてください・・・数ヶ月前まで僕は毎晩このようにお祈りしていた。でもこの数週間は違ってきた。いつまでも長生きさせてくださ・・・と。  姥捨ての施設の中で、痴呆症状は容赦なく進むが、それでもなお品位を保ってくれている母に感謝する。