悪性リンパ腫

 この広い日本で、これだけの人口がいる日本で、今日の連絡を含めて2人の方が僕の周りで悪性リンパ腫を患うことになった。今まで運よくその種のがん患者さんと接する機会がなかったので、丁寧にその病気について調べたことはなかったが、今回のことで調べざるを得なくなった。  御本人たちにとって思い当たることがないから無念だと思うが、改善する率も意外と高いようで、お二人とも復帰してくれることを祈っている。ただ治療は放射線抗がん剤みたいだから辛いのだろうなと想像する。治療の暁の喜びを想像しながら、耐えてくれればと思う。  癌の最大の原因は加齢だというから、お二人ともそれが原因だろう、と言うことにしておく。そう考えれば少しは救われるかもしれない。癌が出来るほど長生きをしたってことにもなるから。癌にもなれないくらいの早死には免れた人たちなのだから。 いまや薬局も含めて医療界は、介護、それも在宅介護が主流になりつつある。団塊の世代が対象の年齢になると施設が圧倒的に不足するのが理由で国がそのように誘導しているのだが、そしてだからこそお金も付いてくるのだが、娘はその方向に薬局をもっていきたくないと昨日話していた。理由はいとも簡単だ。死に行く人たちの世話より、元気で自立して暮らしたい人たちを手伝う方向に知恵を使いたいと言うのだ。僕もそう思う。健康食品という胡散臭いものがはびこったせいで、健康に本当に役立つものを選択することが出来る職業が消えつつある。以前は薬局がそれを独占的に担っていたのだが、調剤と言う、実入りのいい商売に誘導されて古風な薬局などなくなってしまった。気安く体調を相談できるところが消滅しつつある。  ひつこく僕の薬局を生き延びさせて、本当の相談薬局を残したいと思っていたが、娘夫婦がそれを標榜してくれるらしいから、少しだけ安堵している。最後の最後まで我が家で誰の手も借りずに暮らす、そんな気力あふれる老人が暮らす牛窓の町にしてみたい。