生計

 決して望んだものではないが、次々に傷んだものが出てきて、リフォームの真似事が続く。おまけに今日は、調剤で使うパソコンのソフトの保証期限が過ぎたと言うことで、新しいものに「変えさせられた」。パソコンの機械もそうだが、大切なのはソフトの方らしくて、それがべらぼうに高い。今までのソフトだったら請求事務に支障があると言うことで、訳がわからないまま変えさせられた。その金額が乗用車が買える額だからなんとも納得がいかない。見えないものに200万円。見える機械は10万円。まるで人格のようだ。  なんだか現代の世界を象徴しているような出来事で(汗して働く第一次産業従事者の所得が低くて、コンピューターを駆使して稼ぐ人たちの収入がべらぼうに突出している)快い出来事ではなかったが、ただ作業に来てくれている社員には好感が持てた。契約している作業は勿論だが、例によって掃除しない片付けない我が家の伝統?のせいで、混線状態の幾本ものコードをとても気持ちよく整理してくれた。器用に数本のコードを一つの筒状態にしている作業を偶然目撃したので、近づいてみてみると、ちゃんと筒に出来るようになった小道具をもってきていた。便利なものがあるんだと、まるで子供のように興味深く見せてもらった。  風呂とトイレを治すのに、いろんな職種の職人たちが来てくれたが、彼らを取り仕切っている人は偶然よく知っている人だったが、僕や家族が気まぐれに思いつくままの不都合を口にすると、ことごとく器用に実現してくれた。今日までの2週間、その道の地味なプロたちの仕事を見せてもらったが、総じて気持ちよかった。毎日バカコミでは華々しい話題ばかりが取り上げられるが、胡散臭い醜くて汚い隠れた本性が想像でき鼻につく。田舎で懸命に仕事を探し、期待に応えることで生計を成り立たせている職人たちの不器用な親切に感謝する。