一心不乱

 ほぼ諦めていたのだが、思いがけず電話で連絡をもらった。もう一月くらい前にインターネットで見つけて早速申し込んだのだが、又連絡しますと言う結構あやふやな答えだった。ユーチューブで偶然見つけた「秀明太鼓」はとても上手だが、なぜかアップされている本数が少ない。関係あるのかないのかわからないが、宗教団体の和太鼓グループだからだろうか。僕はその手のものに偏見はないし、偶然牛窓の黄島に神殿?を築いているから親しみはあった。聴く機会があればぜひ聴きたいと思っていたから、姫路の無料コンサートを見つけて早速応募したのだ。  希望していた数の整理券を郵送してくれるらしいのだが、そのときにどんな手段で来るのか尋ねられた。何の意図があってそのようなことを尋ねられたのかわからずに少し戸惑ったのだが、その日は夏休みの後半の日曜日で、会場周辺は、プールや水族館があって、かなりの混雑が予想され、駐車場は恐らく使えないだろうと教えてくれた。そして姫路の街に詳しいかどうかなどを尋ねられ、最終的にはどこかを確保してみますと返事をくれた。それもある会社に頼んで8台のスペースが借りれるかもしれないと言う最後の望みみたいなことを言っていた。恐らく、普段近所の会社が使っている駐車場を開放してくれと頼むのだろうが、そんな細かいお世話をしてもらえるとは思わなかった。遠方から訪ねることが分かっているからだろうか、宗教団体ゆえだろうか、いずれにせよ心地よい応対を受けた。  偶然だが今日もう一つ和太鼓関係の方に電話をした。9月に総社で行われる「晴れの国和太鼓まつり」の詳細について教えてもらいたい事があったので、お世話をしている方の携帯電話に連絡を入れた。尋ねたい内容はもとより、興味ある話題で話が盛り上がり少しの時間だったが楽しかった。これまたとても心地よかった。  恐らくこうした光景も含めてこの数年僕を和太鼓の虜にしているのだろう。演奏中の真剣さはどの芸術にも負けないし、その後の観客への礼の尽くし方もどの芸術にも負けていないように思う。プロはともかく、素人のグループまで、僕のこの印象は当てはまる。純粋にお腹に響く音やリズムを楽しみに行っているのだが、それ以上の言葉では表現できない感慨をどの会場でももらって帰る。日本文化として恥ずかしくないものとして、又庶民でも楽しむことが出来るものとして外国の人たちに見て聴いてもらいたいと思う。一心不乱に打ち込む姿を僕は誇りに思う。多くの日本人が失った姿がまだそこにはある。