危機管理

 いいことは単発でも滅多に起こらないのに、悪い事は重なるものだ。それがトリプルともなると結構問題だ。  妻が2週間くらい足の肉離れで不自由にしている。安静にしていれば順調に回復するのだが、配達などもこなしているから結構回復が遅い。そんな時に母が入所している施設から電話がかかり、またもベッドから落ちて骨折したかもしれないと言われた。病院に連れて行ってくれと言うのだが、自分も足を引きずっている妻が母の車いすを押して病院に行かなければならないのかと、タイミングの悪さを恨んだ。  今朝いつものように早起きして猫の額ほどの畑の草を抜いていた。すると過去何度も繰り返したぎっくり腰の痛みが走った。この数年、ある簡単なストレッチで腰痛から遠ざかっていたのだが、ついに来たかって感じだった。僕のはいつも症状が結構激烈で、歩けないどころか立っておれないくらいなのだが、辛うじて立っていた。道路を挟んだ駐車場の中の畑だが、すぐに果たして道路を渡って家まで帰れるかなと考えた。直立不動状態だと少し痛みが軽くなるので、まるで棒のように立っていた。焦らずに、これ以上無理をしないで回復を待とうと思った。いつもなら無理をして腰をひねったりして回復を促すのだが今日は敢えてじっとしていた。するといつもならどんどん悪化する症状が、今日は止まった。朝から妻は母を病院に連れて行くから不在で、僕まで仕事が出来ないとなると、薬局業務は破綻する。なんとかこの程度、直立不動のぎこちない姿勢でも仕事が出来る程度で収まってくれと祈る気持ちだった。いや実際に祈りを口走ったような気がする。  結局、僕は夕方までフルに仕事は出来たし、母も何ともなかった。しかし3人が同時に体調不良を訴えるようなことが実際にあるんだと、今はやりの危機管理のミニチュア版を経験した。