バイキング

 岡山の街を眺望しながら昼食が食べられるので、僕はしばしば泊まりに来た患者さんや、かの国の女の子たちをホテルグランビアの最上階のレストランに連れて行く。食事を楽しんでもらうことと景色を楽しむことの二つを満足できるのはここしかない。極端に貧しい舌をしている僕だから何を食べても美味しいが、僕の好意を素直に、いやそれ以上に喜んでくれている人達を見ることは、食事以上に僕にとっては喜びだ。ただ最近は、僕の車が8人乗りになってしまったから、行動を共にするかの国の子の人数が増えて、燃費改善による効果をはるかに経費が凌ぐ。  それはこれからの僕の課題として、色んな料理が、それも一定以上の質をタンポされているものばかりを楽しむ権利が1800円で90分間保証されるのは、接待としては安いのかもしれない。特にかの国の子達はそう言ったところに行ったことがないのか、精力的に動き、効率よく色々な料理やスイーツや果物や飲み物まで楽しんでいる。ところが僕と来たら毎回失敗するのだが、ビーフカレーがとても美味しいので、どうしても最初に選んでしまう。それも僕の癖で、何でも腹一杯食べないと満足しないから、大盛りのご飯をつぎ、カレーのルウをたっぷりかけてしまうのだ。そして当然だが、気持ちが悪いほど満腹になり、他のものが胃の中に入る余地を作るために仕方なくその後休憩に入る。でも90分の時間内にはなかなか腹一杯から脱出できずに、最後は不本意ながら、せめてコーヒーだけでもとなり、水分を胃の中に辛うじて流し込む。これが僕のほぼ毎回繰り返すバイキングでの光景だ。  かの国の子たちは別として、僕自身にとってはこのバイキングは経済的にペイしていない。だから僕はこのバイキングを「倍金食う」あるいは「倍金愚」と名付けている。