助言

 やはり抵抗はある。一般論から言えば正しいのだろうが、まだ大人になりきっていない子を、患者扱いにはしたくない。抗ウツ薬や安定剤なるものが本当に必要なのかと思ってしまう。紹介した本人もまさかそんな結果を望んではいないだろうが、自分が引き受けるよりは専門家と称する人に委ねた方が、気分も楽だし、責任も免れる。 原因を解決しないで、心のトラブルが治るのは難しい。痛み止めで抑えている神経痛みたいなものだ。若くて柔軟な肉体の持ち主ならそれで治るが、柔軟な肉体に恵まれていない人にとっては治るのとはほど遠い。心も同じだ。柔軟な精神の持ち主なら、回復する力は十分備えているが、心が元々おれやすい人に環境を変えずして安定剤だけで治るはずがない。  助言が助言になっていない。責任を回避しただけだ。症状を1ヶ月、いや数ヶ月押し戻したりする。漢方薬のハーブ効果で折角心が強くなり始めていたのが、元の繊細すぎるレベルに戻っていく。まるで冗談のように、正面に立たず、側面から改善していけば意外と人の心は回復する。品も捨て、肩書きも捨て、プライドも捨て、ヤマト薬局でお金も捨てれば脱力して笑顔も戻る。