上手

 薬局が魚の目、たこなら分かるが、鵜の目鷹の目は頂けない。本当は効果を出してから書こうと思っていたが、効果もへったくれもない。それ以前の問題だ。 数日前、ある皮膚病の電話相談を受けたが、以前世話?になっていた漢方専門薬局?で1日分が2000円のものを飲んでいたらしい。なるほど、その皮膚病は確かに手強いものではあるが、一体何を使ったら1日分が2000円にもなるのか分からない。そもそも1日分が2000円もする皮膚病で使う漢方材料なんてあるわけがない。困っている人の足元を見るのだろうが、それなら胡散臭い健康食品の販売と何ら変わりない。いや、恐らく漢方薬ではなく健康食品を飲まされたのだろう。さもなければ暴利だ。どちらにしても気の毒だ。願わくば、僕の漢方薬で改善して、半年間どぶに捨てたお金を取りかえして欲しい。 この手のことは、漢方とか薬局とか医療とかに特有のことではない。恐らくどの世界にもあることだろう。現代の多くの人が評価しているのは、評判ではなく宣伝なのだ。それを信じたら思うつぼだ。カモフラージュされた悪意が跋扈する汚れた国になったものだと、田舎の薬局の中にいても感じるのだから、都会にいたら尚更だろう。  まあ、国を挙げて虚構の中に引き吊り込もうとしているのだから、庶民が騙されるのも仕方ないか。胡散臭いもので溢れかえれば、ますます彼らの思うつぼだ。見抜くことが難しくなるのだから。いつからこの国の人は上手く生きることがこんなに上手になったのだろう。