手提げ袋

 僕が分かるのは、高島屋天満屋の袋くらいで、後は聞いたことがないお店のものばかりだ。高島屋は全国ネットだからほとんどの方に分かって頂けると思うが、天満屋岡山県発祥の百貨店で広島県にも今はあるのかもしれない。県内では高島屋より寧ろ有名だと思う。ついでだが今度そこの社長が県知事選に出るという。大きな企業の社長が政治をして、誰のために役立とうとするのかは見え見えのような気がする。時代の逆行を無能な民主党が許してしまった。 例によって善意の紙袋が届いた。漢方薬を取りに来るときに両手でぶら下げて入ってきたのだが、その重たそうな感じもさることながら、横に大きくふくらんだボリュームの方が目に付いた。最近は娘がそれなりの紙袋を注文して揃えてくれているから、決して他店にひけはとらないが、僕が孤軍奮闘していた頃は悪い癖で、倹約の虫状態だった。だから薬を持って帰って頂く袋もビニール袋かメーカーが無料で提供してくれたものばかりだった。それを見かねてだろうが、ある親分肌の女性が、よそで買い物をしてもらった紙袋を、数ヶ月分まとめてくれるようになった。決して派手な人ではないが、くれた袋を見ると結構有名な店ばかりらしい。さすがに妻は店の評判くらいは知っているらしくて、「○○さんはいいお店ばかりで買い物をしている」と言っていた。決して贅沢をする人ではないから、恐らく必需品も製品の質を重視して買い物をしているのだろう。  僕にくれなければ燃やされる運命の手提げの紙袋が、命を吹き返すのは心地よいものだ。土地柄色々なものを頂くが、こうした再生できる物を貰うのもまんざらではない。この女性は実は手提げ袋だけではなく、多くの患者さんを紹介してくれる。田舎というハンディーの中で頑張っている僕を評価してくれたのか、それとも気の毒に思ってくれているのか。ひょとしたら10年くらい前に僕はその女性に言っていたのかもしれない。「同情するなら、紙袋をくれ」と。