邪魔中

 人の魅力は意外性に尽きる。それも脚色なしの。 ノーベル医学賞を受賞した山中先生は、しばしばテレビなどに登場するが、とても真面目そうな表情で、その印象にぶれがない。恐らく、ご自身が言っておられるように、研究の成果を早く患者に届けたい一心で研究されているからだろう。  今日のニュースで見たある講演の一こまなのだが、整形外科の手術が下手だったから、指導医から「邪魔中」とあだ名で呼ばれていたらしい。手術の邪魔になるから、邪魔と中山をくっつけられたのだろう。あのいつも冷静な表情の先生の口から出たジョークが、これ又光るのだ。くだらない人間の品のない冗談ばかりを耳にする昨今だから、澄み切ったジョークに救われる。 勿論澄んでいるのはジョークだけではない。先生の価値観やそれに添った生き様だ。昨年の福島の爆発以来、金で買われた学者やタレントや政治家やマスコミをいやと言うほど見せられてきたから、本物の人格に飢えている。多くの人格者達は露出を本来的に嫌うから、なかなか市民には媒体を通しても接する機会が少ない。昨年は小出先生を知ることが出来たし、今年は山中先生か。  肩書きのない人達の飾らない人柄に感動することは田舎だからしばしばだが、知のかたまりのような人達の人柄に触れることが出来るのも又楽しい。