翻弄

 福島沖20Kmの沖合でとれたアイナメから放射性セシウムが1kgあたり25800ベクレル検出されたらしいが、朝日新聞によると、食品基準の258倍の濃度だと書かれている。そもそも食品基準なるものが誰かの都合のよいようにとってつけられたものなのに、それを基準にのうのうと倍率を出しているのだから、新聞社の胡散臭さが透けて見える。事故以前の濃度など恐らく、小数点2桁、0.0いくつの世界だろうから、実際には200万倍と表現しなければならない。何か偶然ホットスポットに近づいた魚のせいみたいに書いているが、魚君が悪いわけではない。 それにつけても漁協の組合長の知識のなさには呆れた。「原発から海に汚染水は新たに流れ出ていないと言う前提・・・」だそうだが、あれ以来毎日何万トンも注入している水がそれでは一体何処に行っているんだと尋ねてみたい。どこに収まっていると考えているんだと尋ねてみたい。こんな認識で組合の長に立てるのだから空恐ろしい。底が抜けて垂れ流し状態だからこそ毎日何万トンも水を入れれるに決まっている。垂れ流しの水は地下にしみ地下水に届き海に流れ出ているに決まっている。  海を奪われた漁師達は、一生の生活の保障を勝ち取るべきだ。獲ってはいけないものを獲ってはいけないし、売ってはいけないものを売ってはいけないし、食べてはいけないものを食べてはいけないのだ。海の男の純情をうまく利用されてはいけない。僕は漁師町で漁師達に育てられたから、漁師達が大都会のエライ奴らに翻弄される姿を見たくない。海に出なければ漁師ではないなら、エライ奴らだけに食わせればいい。僕ら下々が傷つけ合ってどうする。